E 月誕生のシュミレーション
  
約46億年前の誕生直後の地球に火星ほどの大きさの天体が衝突した後、衝突で発生した円盤状の岩石のかけらが集積して、約1ヵ月で月が生まれた。こんな月の誕生史を東京大大学院総合文化研究科の小久保英一郎・日本学術振興会特別研究員らがシュミレーション計算で示した。 
(平成11年3月22日付、北国新聞より引用、以下同じ)
 
 コンピューターグラフィックで、迫力あふれる4分間の映画も作った。京都大で開かれる日本天文学会で27日午後、発表し、映画も同時に上映する。 
   
 小久保さんらは、巨大衝突ではじき飛ばされた岩石粒子の間に働く重力を、独自に開発した専用コンピューター「GRAPE」で計算した。約1万個の大小さまざまな岩石粒子があると仮定して、その質量や位置の分布を変え、約50例のシュミレーションを試みた。 
     
 岩石粒子は、地球の周りで円盤状に広がった後に渦巻きをなし、合体を繰り返して大きさを増し、破片の総質量の半分前後まで成長した月1個が約1ヵ月間で出来上がることが分かった。いずれのシュミレーションでも、結果はほぼ同じだった。 
    
 地球から誕生直後の月への距離は、現在の距離の約16分の1にすぎなかった。月は地球との潮汐作用で離れていった。 
   
 小久保さんは「誕生直後の月は地球から見ると、現在の約300倍の大きさで、見事な眺めだったに違いない」と話している。 
   
 月の起源に関しては最近、火星程度の大きさの惑星が地球へ衝突し、岩石のかけらからなる円盤ができた後、岩石破片が合体を繰り返して月が生まれた、との巨大衝突説が有力視されている。米航空宇宙局(NASA)は16日に月探査機ルナプロスペクターのデータで、この説が裏付けられたと発表した。 
    
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月誕生のコンピューターシュミレーション画像。 
    
(1)地球(中央)と天体が衝突してから岩石破片の円盤が形成された 
    初期状態 
(2)岩石が渦巻き状になり次第に集積 
(3)集まった岩石が大きくなり成長 
(4)約1ヵ月後に完成した月。右上は地球 
      
(小久保英一郎氏と三浦均・理化学研究所研究員の提供)
   
<作者評> 
地球のすぐそばで、本当に岩石破片が集積・合体できるのだろうか、全く荒唐無稽というほかない。宇宙船を使って、大量の岩石破片大小を宇宙空間にバラまいて実験してみてはどうであろう。集積・合体するどころか、地球の潮汐力によって「ロッシュの限界」外でも、バラバラに拡散してしまうであろう。 
 
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