S 起源論に最終決着のとき
 
いよいよ月の起源論に最終決着のときが近づいてきた。日本の月探査機ルナAの観測結果が最終決着を下すことになる。

ルナAは2003年度に打ち上げ予定の、わが国初の月探査ミッションで、2本のペネトレータ(槍型の装置ケース)により地震計、熱流量計の観測ネットワークを月面に設置して、月の内部構造を探る。
  

作者の予想では、2本のペネトレータにより、大きく長い振動(月震)が起こり、地球に匹敵する中心核が観測されて、現在最も有望な巨大衝突説が否定されることになるであろう
   

  
ルナAの全景
 
   
月の起源に関するいろいろな仮説を検討する上では、月を作った材料物質の特性を明らかにすることが重要である。アポロ計画により月表面で採集された岩石では、始源的隕石に較べ難揮発性元素に富み、親鉄性元素に欠けている。しかしこの性質が月全体の物質の特徴であるかどうかは明らかでない。とくに月全体としての親鉄性元素の存在度は月の内部に鉄に富む中心核があるかどうかにかかっている。したがって月の中心核の存在を確かめ、その大きさを確定することは、月の起源の解明に大きな役割を果たす。 (月探査情報ステーションより)
  
謎解きの鍵を握る”鉄”
月の起源をめぐる謎に答えは出ていない。だが、アポロ計画などの月探査機のデータは、ほぼ議論しつくされており、謎解きを進めるには新しいデータが必要だ。
多くの研究者は、月の起源を解明するには、月にどれぐらいの鉄が存在しているかを知る必要があると考えている。鉄は惑星の材料となる基本的な元素だが、月全体に含まれる鉄の総量はよくわかっていない。
もし、捕獲説や集積説のように、月が地球と同じように誕生したなら、月に含まれる鉄の比率に地球との違いはないだろう。鉄分の少ない微惑星だけが集まり天体ができることはあり得ないからだ。天体に含まれる金属鉄は、星の内部へ沈み込み、中心核をつくる。地球の場合、中心核が全質量の30%を占める。
一方、分裂説や巨大衝突説のシナリオは、地球や衝突天体の表層部分、つまり鉄分が少ない岩石部分だけを材料に月ができると考える。
もし、月に地球に匹敵する中心核があれば、現在最も有望な巨大衝突説は否定される。逆に、中心核が小さければ、月には金属鉄が少ないことが決定的となり、巨大衝突説が広く受け入れられるだろう。(もういちど月へより)
  
☆参考サイト☆
  
「月探査情報ステーション」   もういちど月へ
 
 
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