先にあげた「分裂説」と「双子集積説」は除外していいかもしれないが、「捕獲説」と「巨大衝突説」について、もう少しくわしく説明してみよう。 |
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なぜ「捕獲説」に人気がないのか
月が地球に接近した場合は、地球のすぐそばを月が通り過ぎてしまうか、月が地球に衝突してしまうことがよくわかっているので、月が地球の引力につかまって捕獲されることはあり得ないのである。 大きい岩石を高いところから地上へ落下させてみると、ぐんぐん加速度が大きくなって、地上に激突して岩石が粉々に破壊されることはだれでもわかることである。 月が地球に接近すれば、落下するのと同じように加速度が大きくなるから、地球の引力を振り切って通り過ぎてしまうか、さもなくば地球に衝突してしまうわけである。 月が地球に接近して、地球の周りを回るようになるためには、月の運動エネルギーに対して、とてつもなく大きなブレーキをかける働きがなければならない。何がブレーキの働きになったのか、力学的に証明しなければダメなわけである。
自転車やオートバイ・自動車も直進のときはスピードがとても速いが、カーブを曲がるときはブレーキを踏んで、十分にスピードを落とさないといけないと同じことである。 |
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有力な「巨大衝突説」も完璧でない
現在もっとも有力な「巨大衝突説(ジャイアントインパクト説とも呼ばれる)」については、
巨大衝突によって引きはがされた地球のマントル物質が月の原料になったと考えると、
しかし、この「巨大衝突説」もよいことづくめではなく、コンピュータで衝突の様子をシミュレートしてみると、実際に宇宙空間に飛び散って月を作るのは地球からの物質ではなく、衝突してきたほうの天体の物質の方が多いという結果が出てしまった。
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