K 「微惑星説」に異論あり
 
原始太陽系のガス雲が冷えていくと、目に見えないホコリのようなチリ(固体粒子)ができる。これは実験によって確かめられている。  
この小さなチリがどのようにして集められて、惑星に成長できるのか、具体的なプロセスはまだ解明されていない。  
小さいチリがいっぺんに集まって惑星ができたのではなくて、大きさが数キロほどの「微惑星」が衝突・破壊・合体を繰り返して、惑星ができたという「微惑星説」が主流になっているが、これには異論が出ているようである。
 
円盤中心面に、成長した粒子が降り積もるにつれて。当然、粒子の空間密度はどんどん濃くなり、平板だが濃密な粒子層を形成していく。そしてその密度がある濃さにまで達したとき、不意に劇的な変化が生じはじめる。それは、太陽から受ける重力(本当は潮汐力)より、粒子間で働く重力のほうが大きくなってしまうからだ。    
つまり粒子が互いに引き合う力が太陽からの重力にまさるようになって、粒子層内ではそこここで粒子雲の収縮が始まる。これは収縮というより崩壊といったほうがいいかもしれないほど、ほとんど瞬間的につぶれるのだ。そして粒子層そのものが無数に分割された小さな塊に分裂し、ぼくたちが天体として識別できるくらいの塊が誕生する。(1981年、「地球・宇宙・そして人間」松井孝典著より引用)
 
書店の科学本コーナーに行くと、「科学の危機」というタイトルの本が目に止まる。その中に「惑星形成理論」では太陽系は生まれないという記事がある。作者はオーストラリアの科学ジャーナリスト、チャールズ・モーガンで、東京大学理学部大学院天文学科を修了した人である。     
        
内容のおおまかなものは次の通りである。     
1)ガスやチリから岩石の塊ができたとしても、太陽に向かって落下する 
2)外惑星(木星・土星など)の領域では、太陽のまわりを回る速度が遅くなり、微惑星の集積が進まない     
3)チリとガスの円盤の中では、摩擦熱が発生して、対流が生み出され、薄いチリのシートは破壊されてしまうから、微惑星は生まれない     
4)チリ(粒子)どうしは衝突したときに、結合(合体)するよりも破壊してしまうのが自然     
       
太陽系の惑星形成をコンピュータ・シュミレーションしたことで知られる、アメリカの天文学者ウェザリルは、1991年に「粒子どうしの相対速度は非常に速いので、衝突して大きな塊に成長することはできない」といっている。
 
核天体がチリを集めて 
惑星・衛星になった 
    
ガラス瓶に泥水を入れて、かきまぜてから放置しておくと、泥のチリがガラス瓶の底にたまっていく。チリが水中で凝集するところは見たことがない。  
密度の大きい重いものが先に底にたまって、いくつかの層に分かれて、いちばん軽いものが水面に浮かぶ。これがいちばんわかりやすい「惑星形成モデル」である。  

したがって、作者は「微惑星説」を完全に否定して、原始太陽系ガス雲のなかに大小さまざまな「核天体」が回っていて、周りのチリを急速に集めて、惑星と衛星ができたものと考えている。  
この「核天体説」が、もっとも合理的で無理がなく、太陽系のあらゆる現象をうまく説明できると自信をもって提唱するものである。

 
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