月の水 彗星が運ぶ  
北海道大教授ら
「アポロの石」解析

 月内部に存在する水は彗星が月に衝突した時にもたらされたと推定されると、圦本(ますもと)尚義北海道大教授(宇宙化学)ら日米の研究グループが9日、英科学誌「ネイチャージオサイエンス」(電子版)に発表した。アポロ計画で持ち帰った月の石の解析で分かった。

 月の石に水があることは知られていたが、持ち帰る過程で地球の水蒸気に汚染されただけとの説が長く信じられており、この説を覆すことにもなる。

 研究グループによると、月ができた時には水がなかったとされる。グループは、月の石に含まれ、結晶中に水を保つことができる鉱物アパタイト内にある水に注目。同位体顕微鏡を使って、天体の種類ごとに固有とされる水の水素同位体比率を分析した。

 その結果、4ヵ所で採取した10サンプルにあった水の同位体比率は、地球上の水とは異なり、彗星と同じであることを突き止めた。このことから研究グループは、月の内部の水は、月が形成された約45億年前に月に存在した「マグマの海」に落下した彗星に含まれていたもので、その後固まったと結論づけた。 



同位体顕微鏡による月の石の画像。左の写真の枠内の部分を
解析した右の写真の灰色の部分に月内部の水が含まれている
(圦本研究室提供)

<平成23年1月10日付、北國新聞>

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