「はやぶさ」カプセル
微粒子2個 小惑星の砂か
 
0.01ミリ詳細分析へ


 宇宙航空研究開発機構は5日、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル内にある岩石試料の収納容器に、直径0.01ミリほどの微粒子が2個、容器のカバーには肉眼でも見える同1ミリ程度のちり10個以上が見つかったと発表した。

 まだ容器の一部しか観察できておらず、さらに試料が見つかることも期待される。2003年の打ち上げ時や先月のカプセル落下時に地球の砂ぼこりなどが混入している可能性が高いため小惑星「イトカワ」のものがあるかどうか、詳細に分析。小惑星の物質と確認できるとしても数ヵ月から半年後になる見通し。

 小惑星の砂が直接入手できれば世界初の快挙。約46億年前の太陽系が誕生したころの姿をとどめているとされる小惑星の試料の分析を通じて、太陽系形成への理解も深まると期待される。

 プロジェクトマネジヤーの川口淳一郎宇宙機構教授は「空っぽではなく、小惑星の試料がある可能性が残ったので喜びたい」と話した。

 宇宙機構は、先月24日から相模原市の施設で容器の本格的な開封を開始。作業に当たった向井利典宇宙機構技術参与は「カバーに見えるちりは、白っぽい特徴などから、地球のものの可能性が高そうだ」としている。

「断定できぬ」と慎重、宇宙機構

「断定できない」「いろんな可能性がある」−。小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル内の収納容器で微粒子が見つかったとして5日午後記者会見した宇宙航空研究開発機構の関係者は、ほっとした表情を浮かべながらも、物質が小惑星に由来する可能性については終始、慎重姿勢を貫いた。

 容器の開封を担当している向井利典宇宙機構技術参与は、容器には打ち上げ準備などの際に地球上の物質が混入したことが確実視されていると説明。「登山に例えればまだふもと」と、詳細な検証に時聞がかかることを強調した。 



「はやぶさ」の収納容器で見つかった直径0.01ミリほどの微粒子(矢印)。
先端が0.001ミリという極細の針(中央の白い筋)の先に黒っぽく写っている。
(宇宙航空研究開発機構提供)



「はやぶさ」の収納容器から微粒子が見つかり、容器内部の写真を見せて説明する
宇宙航空研究開発機構の向井利典技術参与。右はプロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授

<平成22年7月6日付、北國新聞>

HOME太陽系ニュース目次

inserted by FC2 system