太陽風のふき出し口特定
観測衛星「ひので」映像でとらえる

 地球の磁場に影響を与え、オーロラ発生の原因にもなっている太陽からのプラズマ粒子の流れ「太陽風」が大量にふき出している場所を、宇宙航空研究開発機構の坂尾太郎准教授(太陽物理学)らのグループが、太陽観測衛星「ひので」による観測で初めて特定し、7日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 太陽風がどこから放出されるかについては、さまざまな説があったが、ひのでは映像で“ふき出し口”をとらえた。太陽風の理解が進みそうだ。
 坂尾准教授らは今年2月下旬、ひのでの「エックス線望遠鏡」を使って太陽の大気のうち最も外側のコロナを観測し、映像を解析した。
 すると、黒点など磁場の強い場所の上空に当たる活動領域と、コロナホールと呼ばれる密度の低い領域の境目部分から、プラズマが秒速約140キロで流れ出していることが判明。流出領域は地球の断面積のほぼ3倍で、ここから太陽風により放出されるプラズマ全体の約4分の1が出ていることが分かった。
 同誌は今号で、ひのでの成果を特集し、ほかにも論文8本を掲載した。  



太陽表面の活動領域とコロナホールの境目にある
「太陽風」のふき出し口(丸印)
(国立天文台・宇宙航空研究開発機構提供)

太陽観測衛星「ひので」
 太陽活動の詳しい解明を目指し、宇宙航空研究開発機構が2006年9月に打ち上げた。日本と米、英が協力して開発した「可視光・磁場望遠鏡」「エックス線望遠鏡」「極端紫外線撮像分光装置」の3種類の望遠鏡を搭載している。3つの望遠鏡の同時観測により、太陽表面の磁場の変動エネルギーがコロナに伝えられる仕組みや、コロナ内部で起こる現象、さらにその影響が太陽系全体に及ぶ仕組みを探る。


<平成19年12月7日付、北国新聞>

HOME太陽系ニュース目次

inserted by FC2 system