タイタン土星衛星地球そっくり
複雑な水路に「丸い岩」、雨も

【ワシントン22日共同】複雑に入り組んだ水路、浸食で丸くなった岩のような塊。そして時折の雨?。史上初の探査機着陸から1週間がすぎた土星最大の衛星タイタンには、地球そっくりの地形や気象現象が次々と見つかっている。
 「雨と川の流れによる浸食作用など、タイタンの地形は地球とほとんど同じ仕組みで生まれている」。ようやく見えてきた全体像を説明する欧州宇宙機関(ESA)の探査機ホイヘンスの画像分析を担当するトマスコ米アリゾナ大教授は興奮を隠さない。
 地球に送られた画像には、高台に端を発する無数の支流が太い川へと合流して低地に流れ込む、地球で見慣れた地形が写っていた。激しい液体の旅れがこの地形を刻んだのは間違いない。違うのは、流れたのが水ではなく、タイタンの大気を構成しているメタンである点だ。
 太陽から遠い極寒のタイタンでは、メタンは液体にもなる。トマスコさんらは地表が広範に雨で洗われた痕跡を確認。さらに地下数センチに液体メタンが存在するとの観測結果も得たとしている。
 画像チームは川底などの画像分析で、大気中の有機物が降り積もったとみられる黒っぽい物質も見つけた。有機物と液体が存在することは、有機物同士が反応して「生命」の元になるアミノ酸のような複雑な化合物が生まれる余地があることを示している。
 どれほど複雑な有機物が見つかるか。これが今後の焦点だ。

タイタンに着陸する欧州宇宙機関(ESA)の探査機ホイヘンスの想像図
(NASA/ESA提供)

<平成17年1月23日付、北国新聞>

HOME太陽系ニュース目次
  inserted by FC2 system