米、新宇宙船開発へ
スペースシャトル退役

 【ワシントン10日共同=井田徹治】ブッシュ米大統領が14日に発表する宇宙開発計画の中で、現在のスペースシャトルを退役させ、新たに多目的の新型有人宇宙輸送システムの開発予算を要求する見通しとなった。10日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが報じた。
 同紙やUP1通信が米政府当局者の話として伝えたところによると、新しい輸送システムは 「乗員探査ビークル(CEV)」と呼ぱれ、大型ロケットの先端に多目的の有人宇宙船を取り付けた構造。初めて月面に人間を運んだ1960〜70年代の米航空宇宙局(NASA)のアポロ宇宙船の21世紀版となる。
 地球を回る軌道上で建設中の国際0宇宙ステーションに乗員や機材を運ぶだけでなく、シャトルではできなかった月面着陸や小惑星の探査を可能にする。また、将来的には、火星への有人探査計画にも利用できるようにする。
 早ければ2007年にも、無人の実験機でテスト飛行を実施。現在のスペースシャトルはNASAやロシアが国際宇宙ステーションの建設を完了次第、4〜5年をかけて順次退役させる。
 一連の構想実現に向け、大統領は05会計年度(04年10月〜05年9月)に開発予算としてNASAの予算に8億ドルを上乗せし、同会計年度以降はNASAの予算を5%増額するよう議会に求める。
 
最高5度、最低零下15度 火星表面、炭酸塩も水の証明か
 
 【ワシントン9日時事】米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「スピリット」が送ってくる科学的データを分析しているジェット推進研究所(JPL)の科学者らは9日、カリフォルニア州パサデナで記者会見し、火星表面の温度は最高が5度、最低は零下15度程度だと発表した。
 スピリットに積載された小型の熱検知装置のデータを解析しているアリゾナ州立大学のフィル・クリステンセン博士は、スピリット周辺の岩石の温度が平均より10度程度低く、「眠りのくぼ地」(スリーピー・ホロウ)と名付けられたくぼ地の温度は平均より5〜10度高いとも発表。地表の温度に関するデータが火星の理解に役立つとの期待を示した。
 一方、同装置の観測で炭酸塩の存在も確認された。これに関して、地質学者のスティーブ・スクワイアーズ氏は「いろいろな解釈ができる」と言明。一つは、スピリットが降り立ったグセフ・クレーターにかつて湖があり、その水と大気中の二酸化炭素(C02)が反応して、炭酸塩が生じたとの仮説が成り立つと発言。その場合は、過去に水が存在した証明になると述べた。
 

 
無人火星探査車スピリットがとらえた車体周辺の画像
(NASA提供・共同)

<平成16年1月11日付、北国新聞>

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