米の探査車、火星に着陸
「赤い大地」撮影に成功
【パサデナ(米カリフォルニア州)4日共同=井田徹治】火星の表面を移動し、水が存在した証拠を探る米航空宇宙局(NASA)の無人探査車「スピリット」が米太平洋時間3日午後8時35分(日本時間4日午後1時35分)、火星に着陸、周囲の写真撮影に成功した。
着陸地点は火星赤道近くの、かつては湖だったと考えられるグセフクレーター。約3時間後に届いた60?80枚の写真はモノクロながら、機体の向こうにごつごつした岩がころがる火星の大地が広がり、地平線までがはっきり写っていた。
スピリットは着陸後90分ほどかけて折り畳んでいた機器を展開したが、これまでのところ、機器に異常はみられていない。NASAの担当者は記者会見で「着陸場所は予定通り観測に最適の場所で、機体の姿勢も非常に良好だ」と述べた。
今後1週間かけて観測機器の機能を確認。その後約3ヵ月間、周囲を走り回り、カメラや試料採取装置などを使って岩石や土壌の組成を分析、水の痕跡を探る。火星着陸は、探査車ソジャーナーを搭載した1997年の米マーズパスファインダー以来で、4機目。1月末には、姉妹機のオポチュニティーも火星の別の地点に着陸する予定。
スピリットは火星大気圏に時速1万9000キロ以上の高速で突入。パラシュートとロケット噴射で減速するとともに、24個のエアバッグを膨らませて本体を包み、着陸後バウンドを繰り返した末に無事停止した。
現在の火星表面に水はないが、過去に存在した証拠が見つかれば、生命が発生していた可能性も高まり、観測結果に期待が集まっている。
火星探査には昨年末、日本と欧州連合(EU)も挑んだが、日本の「のぞみ」は機体トラブルで失敗。EUのマーズエクスプレスは火星周回軌道に入ったものの、子機の火星着陸には失敗した。
米パサデナのNASAジェット推進研究所で3日、探査車「スピリット」が撮影、
送信してきた火星表面などの画像を見る担当者ら(ロイター=共同)
<平成16年1月5日付、北国新聞>
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