すい星の「ちり」キャッチ
NASA探査機が成功 中心核から230キロに接近
    
【パサデナ(米カリフォルニア州)3日共同=井田徹治】すい星を取り巻く雲の中に突入、その中の物質を集めて地上に持ち帰る米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「スターダスト(星くず)」が米太平洋時間2日午前11時22分(日本時間3日午前4時22分)、目指したビルト2すい星に接近、試料の採取とすい星の核などの写真撮影に成功した。

 1999年2月に打ち上げられたスターダストはこの日、地球から約3億9000万キロの宇宙空間で、同すい星の中心核から約230キロの距離まで接近。核を取り巻くコマと呼ばれる雲の中を高速で通過した。
 この際、テニスラケットのような形の装置を使って雲の中の小さなちりの粒子をキャッチ。すい星の核やそこからふき出すジェット状の物質の写真撮影にも成功した。
 スターダストは、ちりの粒子を、既に採取済みの宇宙空間の物質とともにカプセルに収納。2006年1月に地球に接近した際に、カプセルを切り離して米ユタ州の米軍施設内に落下させ、回収する。
 すい星に接近、写真撮影などを行った探査機は過去にもあったが、試料を地上に持ち帰るのは初めてとなる。
 主に火星と木星の間にあって太陽の周囲を回っているビルト2すい星には、太陽系形成の原材料となった物質が封じ込められているとされる。試料の分析から、太陽系の成り立ちや地球生命誕生の謎に迫ることができると期待されている。

ビルト2すい星
スイス・ベルン大のポール・ビルト教授が1978年1月に発見した。中心核の直径約4キロ。74年9月までは、太陽からみて木星以遠の軌道を周回していたが、木星の重力に引かれて軌道が変わり、火星と木星の間を回るようになったことが、軌道分析から分かった。長く太陽から遠い位置にあって熱の影響を受けていないので、太陽系形成当時の物質組成を保っていると考えられている。
         

  
米無人探査機「スターダスト」が撮影したビルト2すい星の核
   
<平成16年1月4日付、北国新聞>
        
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