小惑星エロスに軟着陸    米無人探査機が初成功
    
【ワシントン12日共同】米国の無人小惑星探査機「ニア・シューメーカー」が米東部時間12日午後3時2分(日本時間13日午前5時2分)、現在の位置が地球から約3億1500万キロの宇宙空間にある小惑星エロスに軟着陸した。
  主に火星と木星の軌道の間を回る小惑星は、1万個以上発見されているが、探査機が着陸したのは初めて。
  小惑星エロスは長さ約34キロの、そら豆型をしたいびつな天体。
  探査機ニアは、周回型探査機で着陸用には設計されていないが、着地後も地球に向けて電波を送っており、軟着陸は完ぺきに成功した。
  探査機ニアは、エロス表面への降下中に撮影画像を次々に地球に送っており、今後、原始太陽系の名残をとどめるとされる小惑星の地質研究が大きく進むと期待される。
 ニアは、1996年2月に打ち上げられ、昨年2月14日、エロスを周回する軌道に到着して観測を続けていた。
 予定通り観測計画を終了したため、米航空宇宙局(NASA)などは、締めくくりとして軟着陸に挑戦することを決めた。
 ニアの運用、管制チームは、軟着陸予定時間の約1時間半前から、ジョンズ・ホプキンズ大(米メリーランド州)の管制室から信号を送り、ニアの減速を開始。最後は1秒間に1.9メートルの降下速度で着地に成功した。
 この間、管制室のテレビには、ニアが送ってくるエロス表面のクローズアップ画像が刻々と映し出された。
 ニアが着陸前に送ってきた画像は、エロス表面の大きさ10センチの岩石や細かい地形を見分けられるきめ細かさがあり、NASAと同大のチームは今後、画像を詳細に分析し、なぞが多い小惑星の地質などの解明を進める。
 

米国の無人探査機「ニア・シューメーカー」が小惑星エロスへの着陸途中、高度約250メートルから撮影した表面の様子。幅12メートルの範囲が写っている。
(米ジョンズ・ホプキンズ大提供・共同)
 
<平成13年2月13日付、北国新聞にて>
  
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