阪大大学院  46億年前のいん石分析
原始の宇宙空間高速回転で漂う

  約46億年前、太陽系とともに誕生したいん石が含むガラス質の微細な球状物質を、大型放射光施設SPring8(兵庫県三日月町)で分析した結果、形成当時は毎秒約100回も高速回転しながら宇宙空間を漂っていたとみられることが、大阪大大学院理学研究科の土山明助教授(宇宙地球科学)の研究で判明した。
  土山助教授はこの成果を、17日から米国で開かれる月惑星科学会議で発表する。太陽系の成立過程を示す具体的な資料として注目されそうだ。
分析したのは1969年2月にメキシコで発見されたアエンデいん石。石質いん石の一種コンドライトで、コンドリュールというケイ酸塩を主成分とする直径数ミリ以下の球状物質を多く含んでいるのが特徴。
  これは宇宙空間で高温に加熱されたケイ酸塩の滴が急冷され、固化したもの。これらが集まりいん石になったとみられている。
  土山助教授は放射光を使うため分解能が13マイクロメートルと、エックス線断層撮影(CT)に比べ飛躍的に高いSPringを使い、直径約1ミリの球状物質の構造を分析した。
  その結果、数10マイクロメートルの厚さのカンラン石の結晶が層状に重なり、しかも上から押しつぶしたように、わずかにへん平になっていた。
  これは回転による遠心力の影響と考えられ、ほとんどの球状物質に同じ特徴があった。へん平率や物質の粘性などから回転数は毎秒約100回と算出された。
  表面にはクレーターもあり、土山助教授は球状物質同士の衝突などで回転が始まったと推測。「毎秒100回というのは予想以上の高速回転。太陽系の生成やメカニズムを研究する上で、具体的なイメージを提供できるのでは」としている。
   

  
平成12年3月5日付、北国新聞より
  
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